隕石の基礎知識

1―落ちてくる隕石

隕石は、例外を除き、火星と木星の間にある小惑星帯から地球の軌道にぶつかるようにやってきた小惑星の破片で、尚且つ燃え尽きずに地上に落下したものです。ただし地球は陸より海のほうが大きいため、多くは海に落下してしまい、そのような場合の発見はほぼ不可能です。

大きさは指先に乗る程度から50トン以上あるホバ隕石のような大きい塊まで様々ですが、きっと多くの人は「隕石」と聞くと、どでかいクレーターをつくるよ うな超重量級の隕石を思い浮かべると思います。そのような大きな隕石がしょっちゅう落ちてきたら大変ですが、「小さめ」の隕石というのは過去にも現在にも 世界各地で時々落下していて、今わかるだけでも約2500個(一つの隕石が空中でばらばらになった物もひとつとする。)の隕石が発見・認定されています。 また、これらとは別に数えて南極で2万個見つかっています。さらに隕石はthe Meteoritical Society's Meteorite Nomenclature Committeeというところで認定されてはじめて「名前」がつき、価値が認められるのですが、まだ名前のついてない「未分類の隕石」が最近サハラ砂漠 から大量に見つかっています。

ちなみに日本でも47個発見されていますが、国土面積と比較すると、発見率・保存率が高いのだそうです。

2―いろいろな隕石

隕石は何で出来ていると思いますか?「隕鉄」と言う言葉があるから鉄と考えると思います。正解なのですが、名前に「石」がついているように、石が中心のも のもあります。「石質隕石」といいます。鉄が中心の場合は「鉄質隕石」で、両者の中間の「石鉄隕石」もあります。落下量が多いのは石質隕石で、9割近くな ります。一番珍しいのは石鉄隕石です。これらの分類はさらにまた細かく分かれます。成分の違いは、元になった母天体の核であったか地殻であったかによって 変わります。

隕石を調べるといろいろな事がわかります。例えば、隕石から、太陽系における元素存在度を求める研究があります。火星や月からやってきたとわかった大変珍 しいものもあります。すべての隕石は、地球にいながら手に出来る地球外物質であり、そこにはいろいろな情報が詰まっているのです。

3―美しい隕石

隕 石は石や鉄が主な成分だと書きました。研究対象としての価値があるとしても、それだけだとつまらないものに思えるかもしれません。しかし隕石は意外にも 「美しい」のです。鉄質隕石は落下の際に発生する摩擦熱によって指で押したようなでこぼこができ、不思議なフォルムをしています。また、酸でエッチングす るとウィドマンシュテッテン構造と言う網目模様の浮かび上がるものや、鉄ニッケル合金の中にペリドットが含まれる石質隕石は、装飾品にも利用されます。

でこぼこの鉄隕石
ぽこぽこなのです…

4―楽しめる隕石

今まで隕石は学術的なものであって縁のないものと思っていた方は意外と思われるかもしれませんが、研究者でない一般の人で、「隕石愛好家」、「隕石コレク ター」という存在があるのです。アメリカなどが中心に、世界中に1万人ものコレクターがいると聞きました。(しかしどこからをコレクターとカウントするの か、どうやってその数字を出したのか、世界で1万人は多いのか少ないのかちょっと良くわかりませんけれども。)

隕石の値段は幅があり、主に「学術的価値の高さ」、「発見量」、「美しさ」の3本柱でおおよその値段が決まっています。1グラム単位でいうと、数百円程度 のものから、100万円を上回る物もあります。数百円〜数千円なら、学生でも購入することが可能ですね。ただしその場合は、やはりその性質上、知識のある ところで購入した方がいいでしょう。

また、博物館などでは、希少な隕石、大きな隕石を見ることもできます。大きな隕石は迫力が違います。



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